2022/10/11 13:52

その日はさとびの発行日でした。

ミスター部員さん(あちこち取材しにいくのに、この人なくしては大変困る大事な助っ人です)といっしょに、vol.51表紙の撮影現場である杉浦農園さんへ、ほやほやのさとびを届けに行ってきました。
vol.51と杉浦さん
部員さんとの会話中に、ポーズをとって!と頼まれて、目は部員さん、手はカメラの杉浦さん。


さとびサポーターのみなさまに同封しているお便りの中でも触れていますが、
杉浦さんのブレークったら、すごいです。
里山を守るんだ、それには農業だ、と考えて一人で御所に地にたってからいく年月。
さとびと出会ったのは、エルインクさとびごころ編集部(今でいうさとびこ編集室)による発行となった2018年前後のこと。
vol.32(2018 winter  特集「地酒で味わう奈良」)の特集を作るため、「秋津穂の里プロジェクト」についてお話を伺いに尋ねたときです。
雪が降ってたなあ。。。杉浦さんはニット帽をかぶってた。
vol.32の杉浦さん



それがきっかけで、vol.35では特集「農がつなぐ人と土」でご紹介しました。
編集部では、農と離れた都会の人がいきなり農にたずさわったり理解を深めたりすることは難しいと考え、まずは「お手伝い」することで、土に触れ、新鮮な感動を味わってもらえるのではないかと、上記のような特集を企画していました。
その記事のひとつに、杉浦さんの取り組みがふさわしいと考えたのでした。

vol.35

vol.35記事の一部
杉浦農園を紹介しているページの一部。この特集で、写真を撮影してくださったのは、なつかしいですが今や奈良で大活躍の大越元さんでした。


風は奈良からにも登場していただいています。vol.45 (2021 spring 特集は「地球の歴史と奈良の地質」)

satobi-45-18-19P.



さらには、この里山と杉浦さんの取り組みが気にかかりますし、読者の方にも伝えたいと思い、1年以上にわたってコラムを書いていただきました。

その最終回がこちら。vol.46 (2021 summer・特集は「薬食同源奈良」)
杉さんコラム最終回vol.46
環境の崩れに気づき里山に降り立ち、いろいろあった末に「道が開いてゆく」と語りました。
その予感はどんどん結実していきました。

(こうしてみると、杉浦さんはさとびと長いおつきあいですねー)

最初の記事で、秋津穂の里に30人集まったと書いていますが、今はあたりまえのように100人が集まるようになっていますし、そばチャレンジという別枠のプロジェクトも進行中。杉浦農園製の蕎麦のお店を開きたい、、、との夢がいよいよリアルになってきましたし。
耕作放棄地を開墾したばかりの時に見せていただいた場所には、すでにぶどうの苗が育っています。
人気酒風の森とのコラボは、杉浦さん自らが農家酒屋となって販売するに至りました。
2020年からのコロナ禍と戦いながらも、どんどん里山を守る仲間が増え、変化が著しい。



さとびは、キャッチフレーズに含めている「地域づくり」という言葉を簡単に使うことに、本当は抵抗があります。
地域など、作ろうとして作れるものだろうか。
お金の力では作れない。仮にそれで作っても変質していく。
雑誌が「地域づくり」だなんて、伝えていいものか。
 
そのヒントを、さとびの取材活動が教えてくれます。
信念をもって駆け引きなく立ち上がる一人から始まるのです。
その人に感動して人が集まってくるのは、その人が裏切らないからです。
ミスすることがあっても、弱ってしまうことがあっても、裏切ることはしない。
それは、自分を裏切ることになるから。



編集部がスケジュールを調整して訪ねていくようでは間に合いそうにありません。
この動きを伝えなくては。

そこで、
 
杉浦さんには、来年からまた連載をお願いすることになりました。

そして、御所だけでない、多くの美しい里山が、「買いますよ、売ってください」という声(つまり、メガソーラーを作るという理由で)や、後継者不足、農業の難しさ、いろんな理由から姿を変えてしまうかもしれない時代の中で、自然にも人にもあたらしい必然性をもって存在できるように編集部の思いもこめさせていただきます。

それはきっと、ただ農作物を栽培して販売するだけではない何か。

これからの時代、本当に求められるもので、里山にしかできない何か。

今はここまでにとどめますが、杉浦農園さんからは目が離せませんね。
これが近い将来に、あちこちの里山の姿と重なることをイメージしています。




PS

最初に載せた写真の杉浦さんの目線の先、、、部員さんは、何かすごく語っているように見えますが、たわいのない話をしています!
「あの近所のため池、水をぬいちゃおうかー。掃除になるしー」
「そしたらタナゴが復活するかなあ。タナゴ釣りをするために、細い糸を結べるのが高学年のプライドだったわけよ」
vol.51杉浦農園にて部員さん
「池の水、抜きます企画」のときは、取材しないと???!!!