2022/11/29 12:00

みなさんは、「下北山村」という人口800人の小さな村をご存知でしょうか。

さとび読者の方は、「なんとなく紙面で見かけたことがある」印象をお持ちかもしれませんね(けっこうしばしば登場しています)。
また、移住に関心の高い方は、この村からの積極的な情報発信を目にとめたことがあるかもしれません。

奈良盆地から南東へ。吉野町、川上村、上北山村、そして大きな池原ダムが見えてきたら下北山村です。かつては、自宅のある奈良市から遠く、よほどの用事がなければ出かけることのない村でした。何度も通っているとハードルが下がってきます。(いつも誰かに運転していただいてますので、こんなことを言うと怒られそうですけど。誰が運転してんねん?て)
わたしはともかく、多くの人は「どこ?」「遠そう!」と、お感じかもしれません。特に奈良県北部在住のみなさん。


さとびとのご縁は、前身の「俚志」(さとびごころと読みます。今のタイトルはここからきています)時代に、下北山をテーマに特集が組まれたことがありました。当時は、編集委員として関わり、原稿のとりまとめや編集レイアウトなどを担当していましたが、まさか自分が発行するようになるとは想定もせず、ボランティア感覚だった頃のこと。
下北山スポーツ公園で、さとび読者交流イベントも行われ、初めて宿泊しました。洋風のコテージが並ぶキャンプ場、かつて盛大な音楽イベントが行われた野外ステージ、温泉きなりの湯。。。
このあたりが、わたしにとっての「下北山村」のイメージでした。

村のサイトで紹介されてます。(写真がすごく美しいですね。)

https://kinarito.net/visit/299/


そんな下北山のイメージがガラリと変わり、いい意味でショックを感じたきっかけは、「あしたの奈良の森を考える学習会」(奈良県森林総合監理士会主催 2017年から)というセミナーの企画に関わったことです(この学習会は、第6回からは会長の杉本和也さんに紙面でレポしていただきました)。
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さとびごころvol.33(2018 spring)


その日の学習会のテーマは第3回の「自伐型林業」。そこに、下北山村の議員さんや職員さんが講演を聞きにこられました。その中に、今ではさとびでしばしば執筆をお願いしている北直紀さんがいました。下北山村では、すでに自伐型林業の取り組みが始まっていたのでした。

その翌年、さとびvol.32で「森からはじまる下北山村づくり」に取り組む北さんを紹介しました。
取材のお願いに村を訪ねたとき、見たことのない村の表情に触れました。スポーツ公園のあるところからさらに山の上に登ったところに村役場のある中心地があることをその時知りました。わたしの目には、村で暮らす人の空気感が感じられてこちらのほうがずっと魅力的に見えました。

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役場近くの川から見えた紅葉 

それ以来、北さんを通じて地域の方とつながりもでき、さとびの取材対象が広がったり、個人的にも大好きになってしばしば訪れるようになっていきました。

今回下北山に行ったのは、その「森から始まる下北山づくり」はその後、どうなっていったのか、5年を経た現在地を知るためです。

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村で生まれ育っても、森林のことはまだまだ知らないことだらけだった北さんは、猛烈に学習して地域フォレスターにふさわしい人へ変身しました。ここは、自らも森林を所有して実践をしたいと考えて購入した森。自分で手入れしたり、実習の場所にもなっています。

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その森の道で焚き火をしながらお昼をいただきました。
こんなことをするのが、大好きです。人様(北さん)の所有林だけに、許可された場合だけに許される楽しみ。



地域を活性化する取り組み、関係人口や移住者を増やす取り組み、観光客を誘致する取り組み、いろんな取り組みがありますが、外部のコンサルタントが関わり一過性に終わることもありますし、地元の人たちの情熱で粘り強く続き、成果に結びつくこともあります。
やはり、「自分たちの村は自分たちで守る」という思いを地元でどれだけ分かち合えるか?というところがポイントになるのでしょう。

北さんの取り組みはその後、どうなっていったのでしょうか。
vol.32といえば、わたしも新規一転、仕切り直しをしてさとびづくりに取り組み始めた時。
お互いに、(わたしの変化はわずかですが)目指す方向に向かって近づいてきたはずです。


さて、下北山村は日帰りはちょっとしんどい距離です。
いや、あまりにももったいないのです。
移動時間よりも長く滞在したいじゃないですか。
そこで宿泊ですが。。。村にはさとびで連載していただいたオノ暮らしさんが営むゲストハウス「晴々(ハルバル)」もありますし、名前のとおりいい感じでほったらかしてくれる「ほったらかしや」さん、芸術の好きな人向けの「ゲストハウス天籟」さん、実はいろいろございます。その他わたしがまだ泊まったことのないゲストハウスもあると思います。そんな中で、今回ご紹介したいのは。。。

むらんち です。実は設立前に、ちょっぴり関わっていたのですが、オープンしてからは一度も行ったことがなかったのです。この度、ここに泊めてもらいました。

FBで紹介しましたのでよかったら見てください。
村のサイトでも各種ゲストハウスが紹介されています。
https://kinarito.net/visit/452/
(5年前には、こんなサイトもなかった。移住者も増えました。変化したなあと思います)


村外の方が利用されるには、村に貢献する理由で泊まる人、コワーキング目的で泊まる人が対象とのことです。どこの村でもそうですけど、「多くの人に訪れてほしい。関係人口になってほしい」という思いと、「村の平和を掻き乱す人にはきてほしくない」という思いの両方があります。当然ですよね。ゴミを落として去っていく人のことも、村は望んでいません。

愛すべき村に寄り添うように、ふるさとに帰るように、そんな気持ちで訪れてくださる方に絶賛おすすめします。わたしも、親しい人たちとここで村に何か貢献できるような企画をして、お泊まりしてみたいなあとすでに思い始めています。北くん(いつもこう呼んでますので、北くんにしますね)いわく、村の困りごとは「草刈り」なんだそうです。それでは、春になって草が増え始める頃に草刈り堆肥づくりワークショップなんてやるのはどうなんでしょう????阿南家食堂つき、なんてどうでしょう???
興味のある方、そっとメッセージください。お誘いします!

 

次回の冬号では、公務員という立場で森づくり、地域づくりに奮闘する北さんを追いかけてみます。
林業や森林に興味がある人、美しい自然環境に興味がある人、自然に寄り添う山村の暮らしに興味がある人などに読んでいただけたら嬉しいです。

いよいよ2022年も残り少なくなってきました。冬号は新年1月にお届けします。
どうぞ宜しくお願いします。

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