2023/03/06 17:07

白菜

元農水省の官僚で、東京大学教授の鈴木宣弘さんは、世界で一番最初に飢えるのは日本だと訴えていらっしゃいます。

食品ロスが社会問題になる一方で、食糧危機の恐れがあるとは。

食べものは、あって当たり前ではない。日本は十分に危ういという警告を覚えておくことも大切ではないでしょうか。

お読みでない方のために、書評を紹介します。リンク先の記事が削除されることもありますので、転載いたしますね。よろしければ、著書をご購入ください。(アフェリエイトではございません笑)


◆消費者たちよ、目覚めよ!

[評]島村菜津(ノンフィクション作家)
 
衝撃のタイトルに、楽観主義の私はやや辟易(へきえき)しながら読み始めた。ところが、冒頭から来たるべき飢餓時代に備えて農水省が提案した「一日三食お芋」プランに仰天である。
その昔、NHKの討論番組で同席した鈴木宣弘氏が、流通が強い日本で国内生産者の収益が低過ぎると強く訴える姿に目を奪われた。その生産者びいきの訳を楽屋で探ると、三重県生まれの氏は「僕の母は元海女(あま)なんです。今はアコヤ貝の養殖をしていますが」と言ったのだった。以来、生産者側に立つ経済学者としての主張は一ミリもぶれない。

 日本は、小麦、大豆、飼料用トウモロコシの大部分を輸入に依存している。だが、コロナ禍とウクライナ戦争で、「海外から安く買う方が効率的」という食のあり様が破綻してきた。中でも飼料を海外に依存する酪農家は危機的状況に追い込まれている。氏は、それでも、脱脂粉乳やチーズが大量に輸入され続ける現状を批判し、国内で禁止された成長促進剤が使われた牛や豚の肉が、サンプル検査の網の目を潜(くぐ)り抜けていることを大いに危惧する。
 そして、元農水官僚の氏は、「日本政府が農業を軽視する背景には、アメリカの意向がある。アメリカ政府は多国籍企業の意向で動いている」と言い切る。
 農を犠牲にし自由化に貢献したことで、自動車業界へ天下りした官僚や、イモの輸入自由化に抗(あらが)って左遷された官僚の逸話は生々しい。また、飼料が高騰した畜産業の救済の助成金四千億円のうち、酪農家に入ったのは百億円という事実には、すぐに捜査の手が入ることを望む。
  ネタバレになるから書けないが、防衛費を倍増するなら、先にやるべきことがあるだろう! という、その解決策としての予算案には、多くの人々が深く頷(うなず)くことだろう。
 『WTOとアメリカ農業』『食の戦争』と、敢(あ)えて“煽(あお)ること”を止(や)めない氏の本作もまた、このままではいかんというポジティブな怒りをそそる。行間から聞こえてきたのは、日本の消費者たちよ、目覚めよ! もっと子供たちを養う食と農に関心を抱き、選挙に赴こう! というメッセージである。
 (講談社+α新書・990円)


農や林は犠牲になってきたのは、自然にそうなったように見えますが、政策が起因しているのですよね。元官僚の方がカミングアウトされているのですし。

鈴木氏は別の動画で、アメリカからの命令に背くことができないという現実があり、背いた人は左遷されたり亡くなられたりするとおっしゃっていました。

今、まだ毎日スーパーには食べものが並んでいるこの状態のうちに、食べものへの関心がより高まるといいなと思います。
 
官僚でもなく、大企業の社長でもないわたしたちにできることは、ロスなく食べること、少食で健康的に食べること、第一次産業(特に地域の)を応援すること、最低限の自給スキルを身につけることなどでしょうか。それは、食糧危機がこなかったとしても、人の健康にとっても、環境の健康にとっても大切なことだと思います。
みなさんが実践されていることがありましたら、教えてください。