2023/08/14 15:03
この記事はさとびごころVOL.50 2022 summerよりの転載となります。内容は掲載当時のものです。
リデュース(そもそも減らす)、リユース(もう一度使う)、リサイクル(資源化する)、etc…
ごみを減らす面白い取り組みを、全国からみつけてお届けします。ゴミ減、GO!
年5億本以上がごみに
海洋プラスチックごみの問題がクローズアップされてから、マイボトルの普及が以前より進んだ気がします。軽くて便利なペットボトル飲料ですが、それが海洋汚染の原因にもなっていることが少しずつ知られてきたのかも知れません。
ペットボトルが散乱ごみになって海に流れ込むと、紫外線や波の力で砕け、マイクロプラスチックとなって海底に沈み、何百年も分解されずにたまっていきます。PETボトルリサイクル推進協議会によると、2020年のペットボトル回収率は96.7%まで向上しています。それでも、本数にするとまだ5億本以上がリサイクルされず、ごみとして燃やされたり環境中に散乱している計算になります。また、輸入ペットボトルの水は、水道水に比べて二酸化炭素排出量が1000倍という東京都の試算も。
マイボトルを持ち歩くことは、マイバッグとともに誰でもすぐできる身近な脱プラ・脱温暖化の実践です。ただ、特にこれからの季節はこまめに水分をとる必要があるので、中身がなくなったらどこでもマイボトルに冷たい水を給水できる場所がほしいところ。
水道直結型給水機を
そんな給水スポットを全国で増やしていこうという活動をしているNGOがあります。水Do!ネットワークと、この団体が中心となって運営するリフィルジャパンです。また、その趣旨に賛同する団体が全国に生まれ、地域リフィルとして活動しています。奈良にも、葛城市を拠点とする「リフィル奈良」、生駒市が事務局となっている「リフィル生駒」があるようです。
私も「リフィル大阪」の活動として、マイボトル持参率の調査を兼ねた街頭啓発キャンペーンに参加したことがあります。そのときは持参率が3割ほどで、多くの方が快く呼び掛けに応じて協力してくださいました。
給水スポットを広げる活動は、2つの柱があります。1つ目は、駅や公園などの公共スペースに給水機を設置してもらうこと。2つ目は、カフェなどの店舗に対して、誰もが(その店のお客じゃなくても)無料で給水できるよう協力を働きかけることです。給水機はタンク式のものもありますが、望ましいのは水道直結型。水Do!ネットワーク事務局長の瀬口亮子さんからは、少し前にお会いしたとき、「関西はまだまだ給水スポットが少ない」とハッパをかけられました。
水道をめぐっては、各自治体の水源を無視して県の水道に統合する動きなど、別の問題もあります。各地で水道管更新の時期を迎え、持続可能な公共水道に向けた負担や運営のあり方も問われています。インフラの中でも最も命に直結する「水」に、もっと関心を向けたいと思います。
さとびごころVOL.50 2022 summer掲載
文・北井 弘(ごみ減量ネットワーク主宰)
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さとびごころ連載
北井 弘